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中国残留孤児の半生を描いた小説。満州国での日本軍の置き去り、共産党vs.国民党、文化大革命、鄧小平時代、と中国の現代史の中で生きていく陸一心の姿を通勤電車の中で読みふけった。文化大革命時の強制収容所での様子が克明に描かれており、非常に興味深かった。凄惨極める人生の中で、内蒙古で羊飼いの労働に明け暮れる最中に江月梅と出会い、後に結婚するくだりで「良かった」とほっとした。後半、生き別れになっていた妹が貧しい農村で見つかり、身もボロボロにして亡くなっていく場面は涙した。中国は江沢民政権のもとで反日教育が推し進められる一方、自国の歴史の真実を伝えてこなかった。一方の日本も、中国残留孤児となった人々がいる理由や背景を知る人も少なく、また、自国の政府がやってきたこともあまり把握できていないと思う。国益を守る立場、或いは隣国との歴史認識の違いから積極的に伝えてこなかった戦時下の真実を見極めることはとても重要だと思う。この小説は、ある程度事実に基づいた生々しい描写を通じて、僕に戦後の被害者の一側面を見せてくれた。
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